嘘八百
(C)2018「嘘八百」製作委員会
大阪・堺。千利休を生んだ茶の湯の聖地に、目利きだが大物狙いで空振りばかりの古物商・小池則夫が娘のいまりを連れてやって来た。「西に吉あり」。ラジオの占いに導かれるように車を走らせていると、蔵のある屋敷にたどり着く。門から様子を伺うと、主らしい男・野田佐輔が帰ってきた。蔵の中を見せてくれると言う。庭にはジオラマ作りに夢中の息子・誠治がいた。
佐輔は「骨董の事は分からない。これ一つでも車一台は買えると聞いている」と言って茶器を差し出す。則夫は名物に似せた贋物だと見抜き、売りつけた古美術店の名を聞くと、茶器を譲り受けた。
則夫は早速、その店を訪ねる。素人に贋物をつかませた証拠をネタに高額で引き取らせる魂胆だ。ところが、店主の樋渡と大御所鑑定士の棚橋に軽くあしらわれてしまう。くさっていると佐輔からの電話。屋敷に再び呼ばれた則夫は、書状を見せられ、絶句する。利休直筆の譲り状だ。「お宝でっか?」と尋ねる佐輔にしらばくれる則夫。譲り状があれば茶器があるはず。はやる心をおさえながら蔵の中を探すと、ついに利休の形見の茶器が現れた。国宝級だ。「蔵のもの全部、百万円で引き取りましょう」。すました顔で申し出ると、佐輔は快く応じた。
翌朝、支払いを終え、お宝を積んだ車を上機嫌で走らせていると、ラジオから「油断大敵」の声。不安になって箱を開けると、茶器は真っ赤なニセモノだった。