切り子の詩
(C)2016「切り子の詩」製作委員会
関西の商社で工作機械や設備の営業マンとして働く父・澤田敏行。夫の留守が多い家庭を支える母・みほ。そして元気な息子・鈴音(べるぬ)の3人家族。澤田の成績は常に低空飛行の万年課長だが、コツコツと顧客の為に親身に動く姿に、取引先からの信頼は厚い。
ある日、得意先の工場から不思議な部品の緊急注文を受けた澤田は、それが子供の頃からの憧れだったJAMSTECの深海調査船「しんかい6500」プロジェクト関連の重要部品だと知ると、寝食を忘れて翌朝納品に間に合わせるために奔走することになる。
不可能と思われた納期の中、積み上げた人脈と人柄で「奇跡の緊急対応」を成功させ業界内の評価をさらに上げる澤田。 一方、幼稚園児の鈴音は、夜遅くまで働いて、なかなか遊んでくれない父に不満だらけ。しかし、自分には見えない場所で頑張っている父を、見えない場所で頑張っているダンゴムシの姿に重ね理解して行く。 売上げ数字には表れないが、顧客満足度100%を続ける澤田の姿は同僚の深い尊敬を集めた。そして上司も、その数字に表れない成果と人柄を見逃さなかった。結果澤田は、社運をかけた新設のインド支社の支社長にと、上司や同僚から強く推薦されることになる。
インド支社長への栄転打診という人生の大変換を、妻みほに話し出せない澤田。彼と家族が選んだ選択とは……。