渦
(C)1961 松竹
伊沙子は夫の帰宅が遅いある夜、警察からの電話で、山西光一を署まで引取りにでかけた。光一は戦災孤児で、以前知人に頼まれて就職の世話をしたことのある少年だった。その光一が、少年仲間の恐喝に加わって補導されたのだ。洋画輸入会社の社長で、仕事以外には冷淡な夫の洪介は、そんな妻の善意を不快がった。洪介の所へ出入りし、翻訳の仕事などを手伝っているりつ子は、ひそかに洪介を愛していた。光一は国際航業の給仕として働くようになった。ある時、エレベーターボーイの九平に、伊沙子に買って貰ったセーターを汚され、九平を殴った。九平が死んだと思った光一は、伊沙子の家に現われた。彼女は光一を旧知のピアノ教師鳥巣の所へ泊めた。