流し雛
(C)1962 松竹
乙丸音也は新橋にレストランを持っている。彼は中学卒業の直前、九州から上京して苦労を重ね、終戦後、妻の文枝と新橋の駅前で握り飯を売ったのが始まりで、現在の地位まできた。音也は三十年も別れていた不幸な母ふくに、楽な暮しをさせたいと思い、引き取ることにした。音也夫婦には光太郎と保という二人の息子がいる。そして、運転手の八木が毎朝通ってくる。ふくが上京した日、お手伝いさんとして住み込むことになったふみ子が、母のはつに連れられてきた。ふくとふみ子と八木はすぐ親しくなったが、文枝はふくが好きになれない。