残酷の河
(C)1963 松竹
天正十年、信長を倒して天下を掌中に握らんものと野望に燃える明智光秀は、軍資金として噂に聞く飛騨の国忍野郷に出る砂金を手に入れるため、諜者の一人岩瀬隼人にその有無を確めるよう命じた。実はこの隼人、元は忍野郷の生れであるが、三つの時飛騨を襲った飢饉のため、口べらしの犠牲になって川へ流されたところを光秀に救われたもので、忍野郷に対する憎しみは深い。山また山に囲まれた忍野郷では、支配者大庭勘介のもとに外部との交渉は一切断ち、極端な倹約生活を強いられていた。そんな生活に不満を持つ若者の一人、多助は勘介の娘ちずを騙し砂金を持って逃げようとしたが見張に発見され、来合せた隼人共々捕えられた。