八重子のハミング
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山口県のとあるホール。「やさしさの心って何?」と題された講演。妻・八重子の介護を通して経験したこと、感じたことを語る白髪の老人、石崎誠吾。
「妻を介護したのは12年間です。その12年間は、ただただ妻が記憶をなくしていく時間やからちょっと辛かったですいねぇ。でもある時、こう思うたんです。妻は時間を掛けてゆっくりと僕に お別れをしよるんやと。やったら僕も、妻が記憶を無くしていくことを、しっかりと僕の思い出にしようかと…。」
誠吾の口から、在りし日の妻・八重子との思い出が語られる。教員時代に巡り会い結婚した頃のこと、八重子の好きだった歌のこと、アルツハイマーを発症してからのこと…。
かつて音楽の教師だった八重子は、徐々に記憶を無くしつつも、大好きな歌を口ずさめば、笑顔を取り戻すことも。家族の協力もあり、夫婦の思い出をしっかりと力強く歩んでいく誠吾。