彦とベガ
(C)2014 Mio Taniguchi
山あいの古民家で暮らす老夫婦、比古朝雄とこと。ことは認知症で、自分を16歳の少女と思い込んでいる。互いを「彦」「ベガ」と呼び合い、川原で星を眺めることが日々の楽しみ。離れて暮らす一人娘の環は、ことの老人ホーム入所を提案するが、朝雄は「ベガはまだこの家で暮らせるし、それを望んでいる」と首を縦に振らない。ある日、比古家に若い訪問介護ヘルパー・菊名慧がやってくる。認知症のことに最初は戸惑う菊名だったが、日が経つにつれ、ことの少女のような振る舞いに愛らしさを覚える。その一方で、朝雄は二人の親密な様子に複雑な想いを募らせていた。朝雄とことの穏やかだった日々がうつろい始める…。