夜は嘘つき

(C)KADOKAWA 1960
銀座裏にある関西割烹“灘幸”は美人の看板娘桂子が一切を切り廻している。主人の辰吉は腕の良い板前だが、五年前女房に先立たれてから、商売に身が入らず、店の売り上げを持ち出しては競輪、競馬に凝っていた。最近では、魚河岸の仲買人魚金に誘われて習い始めた小唄の師匠小えん治とわりない仲になっていた。流行作家の舟嶋、ナイトクラブの経営者谷口、独身専務の宮本の三人はいずれも生活の安定した魅力ある中年男、味の灘幸などと賞めながら実は桂子めあての灘幸通いで、お互に意識し合いながら桂子をクドいていた。

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