ブラック・フィルム
(C)2014「ブラック・フィルム」製作委員会
中沢沙織の夢は女優、そして映画に出演すること。幼い頃に父をなくし、病弱 の母と妹を守ってきた彼女にとって、それは自身の夢とともに母への恩返しでもあった。しかし母の余命がいくばくもないと知った沙織は、ラスとしてあるオーディションに参加する。最新映画『リアル・アクトレス』。海外の映画賞を総なめにし、新進気鋭と称される監督・田澤啓一によるキャスティングを兼ねたワークショップだ。
そこには、各プロダクションいち押しの新人俳優男女12名の他、映画プロデューサーの宮崎亮介やチーフ助監督の小川卓也も参加し、一週間で配役を決めるというものだった。沙織のひたむきな演技に加え、事務所の代表・佐藤豊の推しもあり、主役抜擢をささやかれ始めた頃、大手芸能事務所の若手女優・大垣美穂が参加してくる。
沙織とは対照的に、華やかでしたたかな美穂。主役を捕るためなら手段を選ばない美穂の執念と憎悪に、次第に沙織の心も染まっていく。黒く、フィルムに焼き付く程に…。