母の曲 前後篇
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母のお稲は女工上がりで上流階級の子弟が通う母親たちの集まりに出席している。自分の出自を恥じ、また、他の母親たちもときにからかい、噂話のネタにし、蔑んでいた。お稲の娘は桂子。これがまたよく出来た娘でピアノの才能は抜群。友達同士仲良く遊んでいる毎日だが、ある日、桂子の誕生日会に友達を誘うが、誰ひとりうちにやって来ない。みな、お稲の家に娘を行かせるのを止めていたのだ。それ以来、友人たちから冷たい眼差しを受ける桂子。健気な桂子がそんな母親のことを嫌うということは起こらない。そのことが逆に、お稲にプレッシャーを与えた。貧しい状態から必死に支えてきた夫は医者としてのステイタスを得、徐々に夫婦に階層の溝が出来始める。