正しく生きる
(C)2015 北白川派
高名な芸術家であり、美術大学で教鞭を執る柳田は大きな災害による原発事故以降、自身の最後の作品として、放射性物質を使ったオブジェの制作を始める。だが、その身体には同時に死の影も忍び寄っていた。柳田に自分の作ったオブジェを粉々に破壊された美大生の桜は、その日から執拗に柳田を追い始める。
街の弁当屋で働くいつかは、大きな災害に遭ったことを利用して別の街で別の人間になるため、家と夫を捨て幼い娘の遥を連れて逃げてきた。いつかのやり場のない鬱屈は、徐々に娘への暴力へと形を変えていく。
圭は、漫才師になる夢を持つ朝雄、優樹とともに少年院を脱走し、震災で行方不明になった姉の行方を探し始める。
朝雄は、恋人の未夢の妊娠を知り、子供の誕生を心待ちにしていた。しかし、未夢から流産したことを告げられ、衝動的に刃物を突きつける。
桜は、柳田の自宅前で朝雄が持っているガイガーカウンターが激しく反応する場面に遭遇する。疑念を抱いた桜は柳田を訪ね理由を問い正すが、無言で立ち去られてしまう。残された桜に向かって、柳田の友人・白石は、ある意外な事実を告げるのであった…。