悼む人
(C)2015「悼む人」製作委員会/天童荒太
坂築静人は、不慮の死を遂げた人々を「悼む」ため、日本全国を旅している。「悼む」とは、亡くなった人の「愛」にまつわる記憶を心に刻みつけることだ。死者が生前「誰に愛され、愛したか、どんなことをして人に感謝されていたか、その生きている姿を覚えておく」ための静人なりの儀式は、傍からは奇異に映った。だが、この行為こそが、静人と関わった様々な人たちの「生」と「愛」に対する考え方に大きな影響をもたらし、誰もが抱える生きる苦しみに光を照らしていく。
山形のとある事故現場で静人に出会った、雑誌記者・蒔野抗太郎には、余命幾ばくもない父親がいるが、子供の頃からの確執によって、袂を分かったままだった。偽悪的なゴシップ記事を書き続け“エグノ”と揶揄される蒔野は、静人に目をつけ、取材をはじめる。