暁の合唱

朋子は女子大の入試にも合格したけれども、貧しい家のことを考え、東北の都市で住み込みとしてバス会社に入った。バスの営業所には、米子という芸者上りの女や、運転手の浮田などがいたが、朋子の出現ですっかり明るさを増した。彼女の仕事始めは、車庫の掃除から、車の油さしで、女だてらに車の下へもぐりこみ、嬉しそうに鼻唄まじりで油をさしていると、めずらしく社長の信吾が訪れた。

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