月の下まで
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高知県西部の港町、黒潮町。町一番のカツオ一本釣り漁師の明神勝雄は、気の置けない仲間たちとひたすら海に向かっていた。一人息子の雄介は知的障害を抱えていて、母のセツが世話係として全てを引き受けている。勝雄は雄介とどう接してよいか分からず、心の内では疎ましくさえ思っていた。しかし、ある日セツが姿を消し、否応無しに息子と向き合うことに。漁に出るたびにトラブルを呼び込む雄介。折からの不漁や新造船の支払いで経済的にも精神的にも窮地に追いやられていく勝雄。なぜ息子は生まれてきたのか…自らの奥底に潜む狂気とかつて感じたことのない父性の狭間で揺れ動いた心は、やがて自分にとって一番大切な「愛」へと辿り着く。