楽園からの旅人
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イタリアのある街で、取り壊されようする教会堂にひとりのこる老司祭。長い年月彼は神の愛を唱えてきたが、人々の望みは別のものに代わろうとしていた。
夜、教会堂に、アフリカからさまよう人々が長い旅を経てやってきた。かれらはみな不法入国者だった。そして即席の小さな村が作られてゆく。この村にはいくつかのグループがあった。あるグループは、身重の女性以外は、みな旅の途上で亡くなっていた。ほかのグループにも多くの犠牲がでていた。あるグループはイスラム原理主義者だった。そのリーダーはこの世界をよくするためには暴力しかないという。それに対し、技師は言葉の力を信じていた。
ひとりの少年は難破船でノートを拾っていた。ノートには世界が始まる頃の美しい大地の様子がえがかれ「すべての子はひとつの母から生まれた」という言葉で結ばれていた。身重の女性が出産する。人々は赤子の世話をし、老司祭はキリストの誕生を思い、祈りを捧げた。
若者たちには恋も生まれようとしていた。そこへ地区の保安委員が不法移民を取締りにやってくる。人々のなかに密告者がいたのだ。老司祭は「教会はすべての人に開かれている」と抵抗し、いったんは保安委員らを退けることができた。そして翌朝、人々は次の地へと旅立とうとしていた…。