風の残響
その山の頂を目指す者は神隠しに遭うという説話がある村。失踪した母親の帰りを待ち続ける少女と、彼女を見守ってきた少年は、永遠に寄り添い合っていられると信じていた。だがそんな矢先、少女が行方不明になる。冬の終わりの田舎町。地元の中学校に通う晃治は、幼なじみの小夜子にほのかな恋心を抱いていた。小夜子には、幼い頃に母親が失踪したという悲しい過去があった。
ある風の強い日、突然小夜子が行方不明になる。あまりのことに現実を受け入れられない晃治は、小夜子は必ず帰ってくると信じ、来る日も来る日も待っていた。しかし事態は深刻になっていく。やがて晃治は、小夜子が抱いていた切ない想いに気がつくのだが……。