赤線基地
(C)1953 東宝
十年ぶりに中共から帰還してきた河那辺浩一は、懐しい故郷、富士山麓御殿場の余りにも変り果てた姿に驚いた。家には祖父、母、弟妹達が健在であり、上の弟杉男は既に結婚して役場に勤めていたが、父は亡き人になっていた。土地は射撃場に接収され、生活に困窮して離れをGI相手の女由岐子に貸してあった。彼は十年間思い続けてきた恋人ハルエの消息を聞きただすが、皆言葉を濁して答えなかった。妹の静江は浩一の幼な友達で小学校教師の上西と婚約の仲だったが、パン助に宿を貸しているという理由で破談となった。