夕の江の街に
(C)夕の江の街に製作委員会 2012
上村やまとはモノレールの整備士として車輛整備の毎日だったが、社長秘書の高嶋が産休に入るため、ある日突然社長秘書に抜擢された。やまとの祖父・武次は定食屋を営んでいる。かつては漁師だった武次の元へは古い漁師仲間が獲れたての真鯛を届けてくれるのだったが、その日、武次は義理の息子で洒落たダイニングバーを営む尚樹にも真鯛を分けに行った。「お義父さん、やまとに会いましたか?」「父親の言葉じゃないな」。生まれた時に母を亡くし母親の顔を知らない。そのことが、いつの間にか家族をバラバラにしてしまっていた。二人とも、やまととの間に見えない壁があるのだった。やまとの母・ゆうひの死。20年前のその時から、思いがけなく掛け違えてしまった家族の歯車。それが今、再び動きだそうとしていた。