生きている画像
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洋画壇の大家、瓢人先生は奇行奇癖を持って六十年の年月を、ただ酒を好伴りょとして暮らしてきた。数十名の門下生は天才、鈍才多士済々である。田西麦太の絵は先生に認められずその秋の帝展に十四回目の落選を宣告された。麦太は悲観するよりも、モデルになってくれた青貝美砂子に対する済まない気持ちで胸が一杯だった。だが、彼女は「また来年よ」と麦太を励ますのだ。南原は俊才として特選画家となったが、なぜか彼は自己けん悪に陥入りデカタンになって不貞くされていた。彼は鈍才といわれる麦太が怖ろしいのである。