友人マーカスの一家が夏を過ごす荘園の別宅に招かれた少年レオは彼らの豪壮な暮らしぶりに驚く。12歳でそろそろ異性を意識し始めている彼は、一家の長姉マリアンに淡い恋心を抱く。その夏は暑く、彼女に夏服を買ってもらったレオはすっかり舞い上がって、買い物を抜け出して彼女が消えた時間に何の疑いも抱かなかったが、彼女は小作人のテッドに秘かに逢っていたのである。レオはマリアンにテッドの手紙の渡し役を頼まれ、テッドとも友情を育んでいく。マリアンには、ボーア戦争で頬に刀傷を負った子爵の婚約者ヒューがいた。彼もまたレオには優しく、教養豊かなよき友人だった。しかし、彼らの間を行き来するうち、レオは些細な罪悪感を覚え始めた。テッドが馬のお産の後、口にした“いい事”とはいったい何だろう。キスでないのは確かなのだが……。少年はまだあまりにも無垢だった。13歳の誕生日をこの家で祝ってもらうまでは……。

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