人肌牡丹
(C)KADOKAWA 1959
江戸、頬白長屋の娘、深雪は、旅姿の侍に斬られた母、お滝の遺言で、遺品の鈴を抱き母の故郷加賀へと急ぎ旅立った。間もなく、金沢城下に怪しい虚無僧の姿が現れた。--当時、加賀藩では当主・利秀が虚弱なのに乗じ、分家の佐山能登守が国家老・泊兵庫と藩の実権を握ろうと利秀とその妹・幸姫の命を狙っていた。これを覚った利秀の近習・佐久馬伊織と腰元・園絵は江戸家老・板倉隼人の救援を求める書状を作り園絵が密使に立った。が陰謀派の一位田東馬は、これを察知、二人を急襲、園絵だけが虎口を脱した。