スリーピング・シックネス
エボとヴェラの夫婦は長い間アフリカで暮らしてきた。エボは「アフリカ眠り病」治療プログラムの責任者で、仕事にやりがいを感じている。対照的に、ヴェラは外国人コミュニティでの暮らしに疲れ、また、ドイツの全寮制学校で学ぶ14歳の娘ヘレンと離れて暮らしていることに不満を募らせていた。エボはアフリカでの生活をあきらめるか、愛する家族と離れるかの選択をせまられる。しかし彼にとってヨーロッパはすでに異国の地となっていた。帰国への恐れが日ごとに増してくる…。数年後、コンゴ系フランス人の若き医師ヌジラが、プロジェクトの評価をするためにカメルーンを訪れた。久しぶりのアフリカで彼が目にしたのは未来への展望ではなく、自己崩壊し亡霊のようになった男であった。