女めくら物語
(C)1965 KADOKAWA
鶴子は十六の秋、人よりおそい初経を迎えた。が、そんなよるこびもつかの間、鶴子はふとした病気から突然視力を失ってしまった。一時は悲しみと絶望で気が狂わんばかりの鶴子だったが、思い直してマッサージ療院へ住みこんで修業した。そして今では馴染客もでき、忙しい毎日を送るようになっていた。そんなある夜、鶴子は療治に出かける途中、石段につまずいた。そのとき後からやさしく鶴子を抱きとめてくれた男が、木越という実業家であった。その後木越は、鶴子を名指しで足繁く療治に通ってきた。鶴子はそんな木越をいつしか忘れられなくなっていった。