望郷
(C)1971 松竹
松村友子は、病床の父に姉文江を逢わすために夜汽車で東京に向かった。文江は五年前、妻子ある男と恋愛事件を起こして父と衝突し、故郷を飛びだしてしまったのだ。それ以後は何の音沙汰もなかった。友子の東京行きのもう一つの目的は集団就職した中学の同級生の消息を知ることであった。東京に着いた友子は、新宿の片隅にある小さなバー“風花”を経営する文江を訪ねた。友子は、文江の変貌ぶりに驚ろき、文江もまた友子の大人びた姿に五年の歳月を感じた。友子は津軽の家のことを話した。文江の目前になつかしい故郷の風景が蘇った。