おのぼり物語

カラスヤサトシこと片桐聡は、売れない漫画家。ある朝、思い立って大阪から上京する。東京での部屋探しを始めるが、貧乏な片桐にはワケあり物件ばかり。やっと見つけた「松風荘」には、ロシア人や片桐に恋心を抱く青年など怪しい住人が暮らしている。だが、上京1週間後に、連載していた雑誌が休刊。貧乏な漫画家から、ただの無職の男になってしまった。そんな時、高校の同級生だった野島由美子から連絡があった。彼女はカメラマンになる夢を持って上京したが、いまだにアシスタントなのだった。二人は、それぞれ作品を出版社に売り込みに行くが、上手くいかない。そして、追い討ちをかけるように、アパートのオーナーは、松風荘を取り壊すので立ち退きを通達されてしまった。大阪へ戻ろうかと弱気になる片桐。夏の終わり、母の景子から電話で、父親の章雄にガンが見つかったと連絡を受ける。父親を安心させることもできない自分を不甲斐ないと思う。果たして、片桐の夢はどうなる！