ノートに眠った願いごと

ミンジュはテレビ局で旅番組を担当するディレクター。司法研修院生のヒョヌと結婚も決まり、幸せいっぱいの日々を過ごしている。ある日、一緒にデパートへ家具を見に行く約束をするが、ヒョヌは仕事で時間に遅れてしまう。やっとデパートの前まで来たとき、突然、その建物がヒョヌの目の前で崩壊する。ミンジュは帰らぬ人となってしまった。10年後、ミンジュを死なせたのは自分だという、自責の念に支配され、ヒョヌは死んだように生きている。そして、彼は冷徹な検事になり、誰に対しても心を閉ざしていた。そんな時、年老いたミンジュの父親がヒョヌを訪ねてきて、一冊のノートを置いていく。それは、ミンジュが新婚旅行のために計画した旅程と手描きの地図、２人の愛の思い出がつまった文章が綴られていた。ヒョヌは、ミンジュが記した美しい土地のすべてを訪ね歩くことを決意する。２人で来るはずだった新婚旅行を一人で辿るのだ。旅を続けるうち、若い女性セジンと度々出くわすようになる。まるで、彼女もミンジュの描いた地図に沿って旅しているかのようだ。ヒョヌの車の助手席に座った彼女は、「この道で出会う村は名前を呼んであげないと寂しがる気がします。ピョンゴク、フポ、ピョンヘ、ウォルソン、トクサン…」と呟く。それはミンジュが記していた言葉とまったく同じだった。ミンジュの魂が宿っているかのようなこの女性は、いったい何者なのだろうか。