死にゆく妻との旅路
(C)2011「死にゆく妻との旅路」製作委員会
1999年3-12月。これは、272日、6,000キロの、ある壮絶な愛の実話である。
石川県で小さな縫製工場を営んでいた清水久典は、結婚して20数年、平凡な家庭を築いていた。だが、バブルの崩壊とともに工場経営が傾き、4千万円の借金を抱える身に。久典はひとり金策に回る。大腸癌の手術をしたばかりの妻・ひとみは、娘夫婦のアパートに居候して、夫の帰りを待ちわびた。しかし金策も職探しも成果はゼロ。「逃げたらいかんよな、卑怯と言われるよな」と言う久典に、ひとみは「オッサンの好きにしたらええ」と微笑むのだった。夫婦の旅は、こうしてほとんど無計画に始まった―。静かに胸に迫る、珠玉のラブストーリー。
逃げるように故郷を飛び出し職探しを続ける夫役に、三浦友和。その夫を“オッサン”と恋い慕い、半ば強引についてくる11歳年下の妻役に石田ゆり子。9カ月の車中に泉のように湧き上がる夫婦愛を、繊細かつ渾身の演技で謳い上げる。