アダン

昭和22年。田中一村と姉の喜美子は、その日の米にもこと欠くような日々を送っている。一心不乱に絵に打ち込む一村と、彼の才能を固く信じる姉。初めて公募展に出品した「白い花」の入選に続き、第十五回北斗展に、「秋晴れ」を出品するが、落選する。激しく詰め寄る一村。同期・荒木泰雲が頭を下げろと進言するが、一村は一蹴する。それ以来、院展、日展等の公募展へ出品するが、ことごとく落選をくりかえすのだった。一村の才能を認める荒木泰雲は、一村の姉、喜美子に一村を説き伏せるよう提案し、画商も紹介するが、「絵を売るのは魂を売るようなものだ」と、自分の絵を見せることさえしない。時は流れ、40代になっても世に認められず、もう自分に残された時間がないことを感じる。50才の時に、生涯最後となる絵を描くため奄美大島に渡る。そして、ひたすら絵を描き、納得できる絵のために全身全霊で取り組むのだった。ここ奄美でも生活の困窮ぶりは変わらなかった。ある日、クワズイモをスケッチしている一村の目の前に、不意に現れた少女アダン。一村は誘われるように少女を追うが、一瞬にしてその白い後ろ姿は彼方へと走り去った。昭和40年、喜美子の危篤を知らせる電報が届く。たどり着いた病院のベッドに横たわる喜美子。ほどなく息を引き取った姉の枕元から、黄ばんだ一枚の紙切れが落ちた。それは「白い花」の入選電報だった。
公開日
2006年5月20日(土)
監督
五十嵐匠
脚本
松山善三
撮影
堀田泰寛
音楽
安川午朗
出演
榎木孝明 古手川祐子 木村文乃 村田雄浩 加藤剛 中村嘉葎雄 犬塚弘 不破万作 笹野高史 吉満涼太
製作年
2005
製作国
日本
上映時間
139
INTRODUCTION
芸術との壮絶な闘いに魂をかけた孤高の日本画家、田中一村。昭和33年、50歳で奄美大島に渡った一村は、極彩色の自然に包まれて、画家として最高の、最後の一枚を描こうと決意する。本作は彼の半生を描いた感動の物語である。一村を演じたのは、『HAZAN』で実在した陶芸家を演じて高い評価を受けた榎木孝明。姉の喜美子には古手川祐子。日本画壇の巨匠に中村嘉葎雄、美術学校の同期生の画家に村田雄浩、一村が心を許していた病院長には加藤剛。その他、犬塚弘、不破万作、笹野高史、吉満涼太といった個性派俳優が脇を固める。また、一村の幻影として現れる野生の少女アダンには、新人・木村文乃が挑んだ。監督は、『HAZAN』や『地雷を踏んだらサヨウナラ』などで、実在した人物を鮮やかに描いてきた五十嵐匠。脚本を手がけたのは、ベテラン脚本家であり監督でもある松山善三。プロデューサーは、映画製作の他テレビ・ラジオの演出、製作を手がける水野清。撮影は、記録・ドキュメンタリー映画で定評ある『SAWADA』の堀田泰寛が担当している。
STORY
昭和22年。田中一村と姉の喜美子は、その日の米にもこと欠くような日々を送っている。一心不乱に絵に打ち込む一村と、彼の才能を固く信じる姉。初めて公募展に出品した「白い花」の入選に続き、第十五回北斗展に、「秋晴れ」を出品するが、落選する。激しく詰め寄る一村。同期・荒木泰雲が頭を下げろと進言するが、一村は一蹴する。それ以来、院展、日展等の公募展へ出品するが、ことごとく落選をくりかえすのだった。一村の才能を認める荒木泰雲は、一村の姉、喜美子に一村を説き伏せるよう提案し、画商も紹介するが、「絵を売るのは魂を売るようなものだ」と、自分の絵を見せることさえしない。時は流れ、40代になっても世に認められず、もう自分に残された時間がないことを感じる。50才の時に、生涯最後となる絵を描くため奄美大島に渡る。そして、ひたすら絵を描き、納得できる絵のために全身全霊で取り組むのだった。ここ奄美でも生活の困窮ぶりは変わらなかった。ある日、クワズイモをスケッチしている一村の目の前に、不意に現れた少女アダン。一村は誘われるように少女を追うが、一瞬にしてその白い後ろ姿は彼方へと走り去った。昭和40年、喜美子の危篤を知らせる電報が届く。たどり着いた病院のベッドに横たわる喜美子。ほどなく息を引き取った姉の枕元から、黄ばんだ一枚の紙切れが落ちた。それは「白い花」の入選電報だった。
CASTING
●榎木孝明(田中一村) 1956年生まれ。鹿児島県出身。劇団四季を経て、NHK朝の連続テレビ小説「ロマンス」に主演。主な映画出演作は、『天と地と』(90)、『福沢諭吉』(91)、『風の絨毯』(03)、『HAZAN』(03)、『春の雪』(05)、『風のダドゥ』(06)など。 ●古手川祐子(田中喜美子) 1959年生まれ。大分県出身。76年星と嵐』で映画デビュー。主な映画出演作は、『ひめゆりの塔』(82)、『細雪』(83)、『春の鐘』(85)、『花の降る午後』(89)、『四十七人の刺客』(94)、『理由』(04)、『銀色の髪のアギト』(06)など。 ●中村嘉葎雄(山上北斗) 1938年生まれ。東京都出身。歌舞伎俳優三世中村時蔵の五男。81年の『ラブレター』などで日本アカデミー賞受賞。主な映画出演作は、『天平の甍』(80)、『それから』(85)、『橋のない川』(92)、『絆-きずな-』(98)、『赤い橋の下のぬるい水』(01)。 ●村田雄浩(荒木泰雲) 1960年生まれ。東京都出身。79年『思えば遠くへ来たもんだ』で映画デビュー。92年『ミンボーの女』で日本アカデミー賞受賞。主な映画出演作は、『釣りバカ日誌イレブン』(99)、壬生義士伝』(02)、『理由』(04)など。 ●木村文乃(アダン) 1987年生まれ。東京都出身。04年本作に一般公募オーディションで選ばれた。06年『風のダドゥ』にヒロインで出演。
配給会社
東京テアトル

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