天使の卵
(C)「天使の卵」フィルムパートナーズ
美大を目指して浪人中だった歩太と、一足先に現役で大学合格した夏姫は、互いに恋をしていた。しかし、生活のリズムが違う二人は微妙に気持ちがすれ違う。そんなある日、歩太は満員電車の中で美しい女性と出会う。その日以来、名前も連絡先も知らない彼女の面影が、頭に焼き付いて離れない。そして、心に刻まれたその横顔を、スケッチブックに描き続けるのだった。歩太の父親は精神病院に入院している。父を見舞った時、病院であの電車の彼女に声をかけられた。彼女の名は五堂春妃。歩太より8歳も年上で、父の新しい担当医だった。さらに、夏姫の姉だという。その後、父親を見舞うため病院を訪れた歩太は、自分が書いた春妃のスケッチを見せる。彼女は「あなたも絵を描くの」と驚きながらも、懐かしそうな表情を見せるのだった。二人きりで会うことになった。彼女の話とは、歩太の父が回復の兆しを見せ、家族と暮らしたがっていることと、妹が歩太のことで悩んでいるというものだった。父親が退院し、春妃と会う機会がなくなってしまう。歩太は、春妃への想いが募ったある日、夏姫に別れを告げる。そして、春妃に素直な気持ちを伝えるのだった。互いに寄り添いながら、愛を育む歩太と春妃。だが、幸せな日々は長くは続かなかった。