トンケの蒼い空

2001年、鮮烈な印象を与えてくれた「友へ チング」で、韓国映画史上最高の観客動員を記録したクァク監督と、「MUSA―武士―」や「私の頭の中の消しゴム」でトップスターとしての人気を誇るチョン・ウソン。この二人のコラボは、ファンばかりでなく、彼ら二人の間にあっても待望のものだった。今作でチョン・ウソンは、これまでの彼の颯爽ぶりとはまるで逆の、落ちこぼれ青年を演じている。高校中退、定職なし。そのために彼は野良犬(トンケ)と呼ばれている。そんな彼が、可愛がっていた愛犬を殺されたり、友達が暴力を振るわれたりしたことに対して、ついに怒りを爆発させる。 このストーリーの運びは、クァク監督の前作「友へ・・」に通じるものもある。友情と報復というのが、この監督の追い求めるテーマなのだとしたら、この作品もその線上に位置するものだ。しかし、今作には「友へ・・」ほどの完成度はないように思える。シナリオ段階での未消化な部分をそのまま進めてしまったかのような、観終わってなんとなく釈然としない印象もある。ただ、韓国映画に特徴的な家族を描くことの巧みさは、この作品でもしっかりと生かされている。トンケとその父親の間に流れる、親子ならではの心のふれあいの作り方はうまいと思う。爽やかさを持った青春ストーリーである。
公開日
2005年11月12日(土)
監督
クァク・キョンテク
脚本
クァク・キョンテク
撮影
ファン・ギソク
音楽
ユン・ミンファ
出演
チョン・ウソン オム・ジウォン キム・ガプス キム・テウク
製作年
2003
製作国
韓国
原題
MUTT BOY
上映時間
101
INTRODUCTION
『私の頭の中の消しゴム』『MUSA‐武士‐』など、幅広い役柄に挑戦し続ける韓国屈指の演技派チョン・ウソン。彼が挑んだのは、大切なものを守るために自分を顧みない純粋な男の生き方。これまでのイメージを覆す、全く新しいイメージの役を記念すべき10本目の本作で披露している。韓国映画界不動のカリスマ俳優、チョン・ウソンの魅力が花開している。監督は『友へ チング』で韓国映画史上最高の800万人の動員記録を樹立し、ヒットメーカーとして地位を築いた実力派クァク・キョンテク。少女ジョンエ役にはホラー映画「REC」で女優デビューし、「オーバー・ザ・レインボー」で知名度を上げたオム・ジウォン。父親役には、韓国映画界の逸材と評される「バンジージャンプする」のキム・ガプス。監督の絶大な信頼のもと、情愛深い父親の役を見事に演じている。また、ジンムク役には、「ラブ・ストーリー」「僕の彼女を紹介します」のキム・テウク。撮影はクァク作品とともに歩んできたファン・キソク。クァク監督のスタッフだったアン・ゴンテ監督のデビュー作「マイ・ブラザー」にも参加している。編集は「バンジージャンプする」のパク・ユギョン。そして、音楽は「懺悔」「フェザー・イン・ザ・ウィンド」のユン・ミンファ。シーンを深く理解した音楽づくりで、監督たちから絶賛されている。
STORY
幼い頃に母親を亡くした少年チョルミンは、市警の捜査課長の父親と二人暮らし。彼はいつしかトンケ(野良犬)と呼ばれるようになっていた。高校生となった彼は、先輩の陰謀に巻き込まれ、逆襲を図るが警察に見つかり父親に連行されてしまう。それがもとで高校を中退。無為な日々を送る。彼と同じく高校を中退して、惰性で日々を送る男たちのグループ(MJK)がトンケに決闘を挑んできた。1対1の戦いを受けて立ち、トンケが勝った。それ以来、トンケは彼らと行動を共にするのだった。ある日、トンケが家に帰ると、そこには見知らぬ少女いた。父は、両親のいない、このジョンエを家族として迎えることにしたのだった。しばらくして、トンケは父親に呼ばれ賭博現場の張り込みを手伝った。現場に踏み込むとMJKの仲間テットクの父親がいた。その父親は罠にかけられていたのだ。トンケは彼の潔白を訴えるが、取り合ってもらえなかった。黒幕である町の実力者オ・ドマンの事務所に地元の人々が押しかけた。その中にトンケが居合わせ、彼は逮捕されてしまう。激しく貧富の不公平について言うトンケに、父親は思わず「出ていけ」と告げた。トンケはその場から走り出して行くのだった。
CASTING
●チョン・ウソン 1973年生まれ。94年、「KUMIHO/千年愛」で映画デビュー。「上海グランド」(96)で強烈な印象を残し、「ビート」(97)でトップスターにつく。主な出演作は、「ボーン・トゥ・キル」(96)、「太陽がない」(98)、「MUSA-武士-」(01)、「私の頭の中の消しゴム」(04)、など。 ●キム・ガプス 1957年生まれ。数々の舞台で活躍後、94年に「太白山」で映画デビューし、青龍映画祭、百想芸術大賞、大鐘賞映画祭などで受賞。主な出演作は、「ひどい人」(96)、「世紀末」(99)、「バンジージャンプする」(00)、「KT」(02)など。 ●オム・ジウォン 1977年生まれ。00年「REC」で映画デビュー。「オーバー・ザ・レインボー」(02)で知名度をあげる。主な出演作は、ドラマ/「黄金馬車」「マジック「嵐の中へ」、映画/「スカーレット・レター」(04)、「美しき野獣」(05)など。 ●キム・テウク 1972年生まれ。99年「イ・ジェスの乱」で映画デビュー。主な出演作は「友へチング」(01)、「ラブ・ストーリー」(03)、「僕の彼女を紹介します」(04)、「マイ・ブラザー」(04)など。
配給会社
東芝エンタテインメント

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