青空のゆくえ
西原中学3年の高橋正樹は、人知れず新聞配達をしている。それは、毎朝同じ家に新聞と一緒に手紙を入れ、2階の部屋ヘピースサインを送るのだ。正樹の幼馴染み、矢島信二がその部屋に住んでいて、もう2年も学校へ来ていない。新聞配達を終えると、朝練のため、誰よりも早くバスケットコートに行く。1学期も残りわずかなある日。ホームルームの最後に、正樹が突然、今学期限りでアメリカへ転校することを発表した。-突然の転校発表と正樹が「日本でやり残したことがある」との言葉に、クラスの全員が騒ぎ出した。女子バスケ部キャプテンの速見有美、親友でバスケ部副キャプテンの杉原雄大たち以外は事前に転校の話を聞かされていなかった。その日を境に、バラバラだった彼らの関係が、少しずつ動き始めるのだった。1学期も終わり、皆で過ごす最後の夏休みが始まった。引越しの日は1ヵ月後の8月22日。「やり残したこと」とは何なのだろうか。雄大は20日の夜に校庭に忍び込み、正樹を驚かせるようなお別れ会を企画するのだった。