自由戀愛
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大正時代の始め。女性の新しい生き方を表現した「職業婦人」という言葉に、当時の女学生たちは憧れを抱いていた。明子と清子は女学校の同級生で、青春まっ只中。陽気な明子、地味で控えめな清子。彼女達は、結婚して男に養われるのは恥であるとして、「自由戀愛」を貫こうと誓いあっていた。数年後、「職業婦人」を謳っていた少女たちは、お見合いで、それぞれ嫁いでいった。明子は磐井商会の次男坊・磐井優一郎の妻となり、何不自由ない幸せな生活を送っていた。ある日、女学校の同級生であった千鳥に銀座で再会する。そこで、清子が離縁したという噂を聞くのであった。嫁いだものの、亭主に妾がおり、家を飛び出したというのだ。そこで明子は、夫の会社の事務職に清子を就けるようにした。明子は清子の実家に出向き、みすぼらしい明子の姿を見かねて面接用にと自分の豪奢な着物を差し出した。親切心からの無邪気な行動だった。しかしその時、清子の自尊心は深く傷つき、憎悪の念が生まれたことを明子は知る由もなかった。清子は明子の着物を羽織り、鏡の前に立つ。今まで着る機会のなかった色鮮やかな着物。地味で目立たない清子が、妖艶な魅力を持つ一人の女へと一変した。面接のため磐井商会を訪れた清子は、優一郎と対面する。優一郎は明子とは正反対の魅力を持つ清子に強く惹かれ、清子もまた、誠実で野心家である優一郎に親愛の情を抱いた。たった一枚の着物が、三人の人生を大きく狂わせていくのだった。