故郷の香り
(C)2003「故郷の香り」製作委員会
ジンハーは北京の役所に勤め、妻と産まれて間もない息子と暮らしている。大学に合格してこの村を出たきり、一度も帰ることはなかったが、高校時代の恩師であるツァオ先生の事業のことで故郷にやってきた。先生の用件を済ませて北京に帰る時、柴を担ぐ汗と泥に汚れた女とすれ違った。その強い眼差しを見て、ジンハーが青春の日々を捧げた初恋の人、ヌアンだとわかった。まるで別人のような姿だった。思わず彼女を呼び止める。悠然と川の水で汗を流すヌアン。無愛想な口調ながらも、そのうち夫と子供と暮らす家を訪ねてくれと誘う。片足を引きずって歩くヌアンの後ろ姿を見つめるジンハー。長い間帰らなかったのは、彼女に会うことも、そして会えないことも、怖かったのだという自分の気持ちに気付くのだった。