クリスマス・クリスマス
健太と美和は20代後半のカップル。同棲生活4年目を迎え、倦怠期真っ只中である。これといった夢もない漫然とした日々を送り口げんかばかりしている。ある夜、ケンカした健太は、家を飛び出し銭湯へいった。その帰りに自分の靴が無くなり、そこヘなぜかスキューバ・ダイビングの足ヒレを改造した“カッパの足”が置いてあるのだった。健太はそれを履いて夜道を歩いていると、背後に一台のワゴン車が急停車しいきなり拉致されてしまった。健太が連れ去れた先は「ファンタジー保存協会」という謎の団体の事務所だった。この組織は、夢のない現代社会に警鐘を鳴らし、世の人々を楽しませる<ファンタジー>を演出する世界規模の秘密組織だと言う。そして、UFOやネッシー、雪男や口裂け女、人面魚やカッパなど数々のオカルト伝説は、全て彼らによって創られた<ファンタジー>だというのだ。健太がさらわれたのは、銭湯に忘れた小道具の“カッパの足”を取り戻すためだった。そんな話しを聞いているうちに健太は彼らの心意気に打たれ、協会への入会を決意。事務所へ引越しまでしてしまう。そんなある日、カッパ伝説を捏造する際、その一部始終が隠し撮りされ、写真週刊誌に掲載されてしまうという大事件が起った。秘密組織の存続が危ぶまれる一大事だ。大失態を犯した彼らは、フィンランドにある協会本部からの恐ろしい厳罰「ファンタジーおしおき」に怯えるのだった。