キッチン・ストーリー
2004年5月22日(土)公開
ノルウェーに住む一人暮らしの老人のもとへ、スウェーデンから男が訪ねてくる。独身男性が日々の生活の中でキッチンでどう動くのかその動線を調査するためだという。そしてこの調査員は、老人の家のキッチンに監視台を持ち込み、そこに座って一日中老人の動きをチェックしていく。
- 公開日
- 2004年5月22日(土)
- 監督
- ベント・ハーメル
- 撮影
- フィリップ・オガールド
- 音楽
- ハンス・マティーセン
- 製作年
- 2003
- 製作国
- ノルウェー=スウェーデン
- 原題
- SALMER FRA KJOKKENET
- 上映時間
- 95
- INTRODUCTION
- ノルウェーの田舎に住む、年老いたひとり暮らしの男と、スウェーデンの「家庭研究所」からやってきた調査員との奇妙な話。このストーリーは、ベント・ハーメル監督が、1950年当時、スウェーデンの家庭研究所が実際に調査した、台所動線図を見て思いついたという。調査される男と調査員との間には、「お互い会話してはならない」「いかなる交流ももってはならない」などのルールが決められていた。ただ観察する男と観察される男だけの台所。調査員の目的は、独身男性の台所での行動パターンを観察するためという。本作は、人が生きることとは?というテーマが根底に流れている。脚本もベント・ハーメル監督で、これまでに「卵の番人」(95)、「Water Easy Reach」(98)などを製作。本作はカンヌ国際映画祭監督週間に出品され、トロムソ国際映画祭にて国際批評家賞を受賞した。
- STORY
- ノルウェーの田舎で一人暮しをする、年老いたイザック(ヨアキム・カルメイヤー)の元へ、調査員のフォルケ(トーマス・ノールストローム)がやって来た。「馬」がもらえるという理由から、調査に応募したイザックが手にしたのは、スウェーデンの特産である赤い馬の人形だった。応募したことを後悔し、フォルケを家へいれることすらも拒否する。数日後、ようやくあきらめたイザックの家の台所には、彼を見下ろす奇妙な監視台が設置された。 調査される側と調査員との間には、「お互い会話してはならない」「いかなる交流ももってはならない」などのルールが厳しく決められていた。一日黙って自分を見下ろすフォルケに気を許せないイザックは、キッチンを使わず寝室でこっそり調理するのだった。 お互いに気まずい観察生活が続いたある日、ついにフォルケとイザックは口をきく。ゆっくりと確実に縮まる二人の距離。いつしかお互いにコミュニケートすることが楽しみになっていた。イザックの誕生日にトレーラーに招待し、沢山のろうそくを立てたケーキで祝うフォルケ。外には楽しそうな二人を窓から見て、持ってきたケーキを手に帰ろうとするグラントの姿があった。楽しい日々を過ごす二人だったが、フォルケは調査員としてのルールを破ってしまっていた。それはついに頭のかたい上司マームバーグの知るところとなり、フォルケはクビを言い渡されてしまう。そんな彼にイザックは、自分のもとでクリスマスを過ごすことを提案するのだった。マームバーグはフォルケに「スウェーデンとの国境までトレーラーを運べ」と命じ、トレーラーでイザックの家を出たが、怒りが心頭に達し、トレーラーを国境の路上に残し、来た道を車で引き返す。イザックの家に戻ってみると、そこには一台の救急車が止まっていた。
- CASTING
- ●トーマス・ノールストローム 1956年スウェーデン生まれ。78年から81年にかけてストックホルム・シアター・アカデミーで勉強する。「The Hunters」(96)や「Good Evening, Mr. Wallenberg!」(90)の映画に出演。97年から2000年にかけてテレビ番組「Pist Watcher」の監督・脚本・出演をこなした。またザ・ニュー・ピストル・シアターでは7年間リーダーをつとめている。 ●ヨアキム・カルメイヤー 舞台や映画でのキャリアは長く、役柄もシェークスピアからテネシー・ウイリアムズまで多岐に渡る。また、世界で一番と言っていいほど、イプセンの作品の登場人物を演じている。テレビやラジオにナレーターとしても出演。「Lars I Porten」(84)ではアマンダ賞の最優秀俳優賞にノミネートされている。2001年には彼の俳優としての功績とノルウェイ演劇界への貢献の栄誉をたたえてナイトの称号を与えられた。