横堀川
(C)1966 松竹
船場の昆布商浪花屋の一人娘多加は美しい娘だった。その上、浪花屋でのきびしい丁稚奉公に耐えている八田吾平を何くれと慰めてくれるほど心の優しい娘でもあった。吾平はたった三十五銭をにぎりしめて淡路島から大阪へ出てきたのだった。そして、船場の四つ橋のたもとで浪花屋の主人利兵衛に拾われたのである。その吾平がたった一人の肉親である母を亡くした時、多加は吾平と共に悲しんでくれた。お蔭で吾平は熱心に仕事に取り組み、異例の若さで番頭になることが出来た。そんな頃、多加は呉服問屋河島屋の跡取り吉三郎と結婚した。しかし、生来の遊び好きの吉三郎のために多加は苦労しなければならなかった。