アイデン&ティティ
(C)2003「アイデン&ティティ」製作委員会
ロックバンド「SPEED WAY」のメンバーは、ギターの中島、ボーカルのジョニー、ベースのトシ、ドラムの豆蔵の4人。メジャーデビューを果たし、1stシングル『悪魔とドライブ』がヒットしているけれど、彼らには悩みがあった。自分たちのやりたい「ほんとうに歌いたい歌」を犠牲にしてまで、有名になって「売れる歌」を歌えばそれでいいのか。ある夜、曲づくりに悩む中島の部屋に、ハーモニカを持った男が現れる。中島は“ディラン”に似たこの神様を部屋に泊める。この日からロックの神様は度々、中島の前にだけ姿を見せるようになった。“SPEED WAY”の人気は勢いを増し、ついにTV出演が決定した。収録当日、中島は人気爆発中のバンド“GOD”のボーカル岩本(コタニキンヤ)と再会する。目指しているものが違うことを自覚しながらも、どうしても彼を意識してしまう中島の耳に、今日もロックの神様のハーモニカが聞こえてくる。新曲の練習日。中島はこれまでとは違う曲を作ってきた。メンバーはぎこちなくなってしまう。その頃中島は、大学時代からつきあっている彼女(麻生久美子)の部屋にいた。一番の理解者であり、いつも自分を励ましてくれる彼女のことが、本当は好きでたまらない。しかし、首筋についたキスマークを見つかり、彼女の部屋から追い出されてしまう。。家路に着いた中島は、泣きながら出会った頃を思い出していた。大学の文化祭で「どうしてオリジナルをやらないの?」と声をかけてきたのが彼女だった。「君が何を伝えたいか、君自身のアイデンティティは何なのか、それが問題だと思うけど…」そう言って、差し出されたのは“ボブ・ディラン”のレコードだった。