沙羅双樹
- 公開日
- 2003年7月12日(土)
- 監督
- 河瀬直美
- 脚本
- 河瀬直美
- 撮影
- 山崎祐
- 音楽
- UA
- 製作年
- 2003
- 製作国
- 日本
- 上映時間
- 99
- INTRODUCTION
- カンヌ映画祭カメラドール(新人監督賞)を史上最年少で受賞する鮮烈なデビューを飾った、河瀬直美監督。本作は、「火垂(ほたる)」(00)に続き、奈良を舞台に描く最新作だ。代々墨職人を受け継いできた麻生家で双子の兄が“神隠し”にあったように行方不明になってしまう。残された家族の「刻」は、その日を境に止まってしまった。5年後、17歳になった双子の弟・俊は、美術部に在籍する高校生へと成長。キャンバスに、忘れることのできない兄への想いを描きつづけている。やがて明らかになっていく兄の消息。主人公の高校生・俊(しゅん)を演じるのは、奄美大島出身のストリート・ミュージシャンの福永幸平。一方、俊の幼馴染み・夕(ゆう)には、1,000人を超えるオーディションから選ばれた、兵頭祐香。俊の父親には、「まんてん」で活躍の生瀬勝久。夕の母親・晶子に「阿弥陀堂だより」の樋口可南子が扮している。そして、監督の河瀬直美が俊の母親、礼子役で女優としても出演。難しい役柄を見事に演じている。音楽は昨年公開の「水の女」で映画初主演を果たし、素晴らしい才能とその可能性を見せつけた「UA」。古都・奈良という舞台に、新鮮な旋律を奏でている。
- STORY
- 奈良の旧市街地(ならまち)で代々墨職人を受け継いできた麻生家は旧家に暮らす4人家族。夏の暑い地蔵盆の日、双子の兄が迷路のように入り組んだ路地遊んでいた。俊は前を走る兄を追って勢い良く辻を曲がっていく。しかし、そこに兄の姿はなくなっていた。両親の必死の捜索にもかかわらず、“神隠し”にあったように行方不明になってしまう。それから5年後、17歳に成長した俊は、美術部に在籍する高校生。忘れることのできない兄への想いをキャンバスに描きつづけている。幼馴染みの夕とは淡い気持ちを共有しながらも、どこかぎこちない。俊と夕、そして家族たちは、行き場のない思いを抱えつつも、それぞれに出口を探そうと懸命に生きていた。墨職人の父は夏の間仕事がなく縁側でしがない一日を過ごしたり、ふらっと商業の旅に出掛けていく。その姿はどこか無気力にも見える。身重の母は生れてくる生命に家族の絆が再生することを期待している。やがて、夕に明かされる出生の秘密。そして、明らかになった兄の消息。お互いが失ったものをじっと胸に秘めつつ、いま、俊と夕は前に進もうとしていた。
- CASTING
- ●麻生俊:福永幸平 ●伊東夕:兵頭祐香 ●麻生卓:生瀬勝久 ●伊東昌子:樋口可南子 ●監督・脚本/河瀬直美 1992年、「につつまれて」がイメージフォーラム・フェスティバルで奨励賞を受賞。1994年、「かたつもり」が1995年山形国際ドキュメンタリー映画祭で奨励賞受賞。1996年、初の劇場用映画「萌の朱雀」が第50回カンヌ国際映画祭でカメラ・ドールを史上最年少で受賞。続く2000年制作の「火垂」はロカルノ国際映画祭にて国際批評家連盟賞とヨーロッパ国際芸術映画連盟賞のダブル受賞。2001年にはブエノスアイレス国際映画祭でもダブル受賞。
- 配給会社
- 日活