少女の髪どめ

イラン人だけでなく、アフガン人も働く建築現場。買出しやお茶くみの仕事をしているのは17歳のラティフ。ある日、怪我をしたナジャフかわりに14歳ぐらいの少年が来る。働けないナジャフが、代わりに息子のラーマトをよこしたのだ。ラーマトは見るからにひ弱そうだ。そこで親方のメマールは、ラーマトの仕事とラティフの仕事を交換することにする。楽な仕事を新参者に奪われたラティフは、怒りがおさまらない。しかもラーマトが用意するお茶や食事は、みんなに大評判。ラティフはますます面白くない。そんな時、ラティフはふとしたことから、ラーマトが女の子であることを知ってしまう。翌日から彼は髪を整え、ラーマトの出勤を心待ちにする。誰かが彼女に文句を言えば弁護する。休憩時間にはハトに餌をやりながら微笑む彼女を遠くから見つめているだけで、あたたかな気持ちに包まれるのだった。ある日、難民労働者の調査官がやって来る。ラーマトが彼らに追われているのに気づいたラティフは、彼女をかばい、警察に連行されてしまう。親方のメマールに引き取られてラティフが建築現場に戻った時、ラーマトの姿はもうなかった。アフガン人労働者を雇うのは違法であるため、全員解雇せざるを得なかったのである。残っていたのは屋上に落ちていた彼女の髪どめひとつだった。ラティフはその日を境に、彼女を探し始める。

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