手紙

「10年後の自分に宛てた手紙」を収めたタイムカプセル。それを掘り起こす記念式典が行われていた。式典には、この町で代々郵便局長を務めてきた大森源司や長男恒一の妻、早穂子も出席していた。大森恒一は金沢市内の郵便局に外務員として30年間、配達の仕事に携わってきた。父源司が局長を引退した際も、局長の座は妹二三子に譲り、自分は配達の仕事から変わろうとはしなかった。手紙を受け取る人々の笑顔に出会えることが何よりの喜びだったからだ。ある日、配達するはずの郵便物がバイクこと盗まれてしまうという事件が起こった。中にはタイムカプセルから出てきた手紙も含まれていたのだ。バイクを盗んだ若者はまもなく逮捕されたが、バイクの行方を話そうとしない。恒一は、その若者に「手紙一通にもそれぞれの愛情や想いがこもっているんだ。頼む、手紙を返してくれ」と頼んだ。数日後、郵便バイクは谷底に捨てられたていたのが発見される。手紙は川に流され、風に舞い、回収は不可能に思われた。しかし、恒一は「手紙を必ず届ける」と誓い、手紙の捜索を開始。さて、手紙を受け取る人たちの笑顔に会うことができるだろうか。

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