星に願いを。

青年・笙吾は、３年前の交通事故により、失明し、声も失ってしまった。そして、心を完全に閉ざしてしまったのだ。その彼が立ち直ったのは、看護師・奏の献身的な看護と時に厳しいリハビリだった。笙吾は少しずつ、再び生きる勇気を取り戻していった。そして、二人はいつしかお互いに言葉を超えて心が通じ合う存在になっていた。しかし、笙吾は車にはねられ、奏の目の前で息絶えてしまう。泣き崩れる、奏。死んだ筈の笙吾は市電の車庫で目覚める。事故での体には傷一つなかった。しかも視力が回復し、声も出せるようになっていた。それは、不思議な流星のチカラによって、生前とは違う全く別の人間として、数日間だけ生命を与えられたのだ。誰も彼と分からない別人となった、笙吾は、ある想い”を伝えようとする。しかし、彼女にとって今の笙吾は他人にしか見えない。その存在が人に知られる時、笙吾は永遠にこの世界から消滅してしまうのだった。