セイブ･ザ･ラストダンス

クラシックバレエへの道に挫折した少女が、転校した高校で、ヒップホップに出会い、再びダンスの魅力に引き込まれ、新たな目標を見つけ出すサクセスストーリーであり、ラブストーリーであり、ヒューマンドラマであり、音楽映画である。多様な要素を巧みに織り込んで、しかも無理なくサラリとした感動と、全編に流れるヒップホップのサウンドの気持ちのいいノリを味あわせてくれる。ここのところ、ちょっとしたダンス映画ブームともいえるほど、ダンス映画の公開が相次いだ。それら一連の作品群の中でも、最後のダンスは取っておいてね、というタイトルどおりに、最後にいい作品に出会えたというところか。例年夏休みのこの時期には、大作、話題作が続々出てきて、ともすれば見過ごされがちな小品だが、その内容の豊かさは決してひけをとるものではない。 あまり話題にもならないだろうが、こういう小さくてもキラリと光る映画を見つけだすのも、映画ファンの大きな楽しみの一つだろうと思う。