火の接吻

水の都ヴェニスに近いムラノの若いガラス細工職人アンジェロはガイドのラファエレにつられて見学に来た映画女優ベッティナが好きになってしまった。ベッティナはプロデュウサァのサンドリニと共に新作「ロメオとジュリエット」に使う時代のついた調度を探しに来たのだが、ラファエレは二人をサン・マルタン運河に臨むマリア邸へ案内した。この邸はヴェニスの名門で既に没落していたが、当主エットォレは家名を誇り昔の夢をみつづけ、その従弟アメデオは戦傷のために気が変になり絶えず機関銃を射つ真似をしており、その他エットォレの妻ルチアも家政婦レティティアも、みんな風変りで、ただひとり娘のヂオルヂアだけが清純可憐な乙女だった。

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