育ちざかり
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鎌倉に住む大内家には、秀子、浪子、陽子という美しく明るい三人姉妹がいた。長女の秀子が銀行マンの宮島と結婚して間もなく父親が亡くなったが、母の松代は残った大学四年の浪子と、高校生の末娘陽子の二人を伸び伸びと育てていた。陽子は思春期の娘らしく異性が気になってしようのない年齢で、演劇部の浪子の仲間である南田友雄にひそかに憧れていた。そんな多感な陽子は、秀子が、平凡な見合結婚したことに失望していた。だから、貸付課の宮島が、商売柄酒席に招かれることが多く、女とのつき合いも多いのに、いたって幸福そうな秀子の心のうちが理解できなかった。