細雪
(C)KADOKAWA 1959
藤岡家は大阪の船場の旧家だった。鶴子・幸子・雪子・妙子の四女があった。鶴子の婿養子・銀行員の辰雄が家督をゆずられたのち、父は死んだ。借金が残っていた。家はその跡うめに他人の手に渡った。--次女の幸子は婿養子に計理士の貞之助を迎え、芦屋に分家している。三女の雪子はそろそろ婚期を逸しかけてい、本家と芦屋の姉の家を行ったり来たりして暮している。おとなしそうだが、芯は強い。心にきめた相手を事故で失った傷手がまだいえぬようだ。末娘の妙子は雪子と正反対の行動的な近代娘だ。二十歳の頃、船場の宝石商のぼんぼん・奥畑と駈け落ちした。