九月の空
(C)1978 松竹
小林勇は高校に入学すると剣道部に入った。あの対峙した時の緊張感が好きだからである。15歳の勇にはOLの姉、保険外交員の母とお金にまったく無頓着の絵描きの父がいた。苦しい家計を助けるために牛乳配達などをする勇は父の生き方に批判的であるが、母の父を許す姿に、なんとなく納得している。そんな勇も、弟という気安さから見せる姉の下着姿に戸惑いを感じるのだった。ある日、同じクラスの秋間の発案で勇は痴漢退治に行った。盛装して見違える程美しくなった級友の小夜子を囮にして、現われた痴漢をメッタ打ちにした。翌朝、勇は幼稚園で同級だった片桐清美に会った。彼女とは六年ぶりの再会だが、見紛うほど成長していた。