「この町で……俺を見たことはないか?」ぼろを纏った男が江戸の町に現れた。男はなりゆきから喜多というコソ泥女を助ける。喜多は「助けてくれた」お礼にと、記憶を失くした男に<名無し>の名を与えて、狂言作者の玄馬、ごろつきの邑麻兄弟らを巻き込みその素性の手がかりを求めはじめる。
現状で名無しについてわかっている事実は、どうやら自分は謎の剣客たちに命を狙われている、ということ。しかもその度に圧倒的な剣技で返り討ちにしてきたらしい。なぜ自分がこれほどまでに強いのかも思い出せない。だが、町で悪事の限りを尽くしてきたという<日陰党>の名を聞いた時、記憶の中にただひとつ残る<愛する者の死に際>が思い出される。
同じ頃、与力である玖良間士道や皿月壬午はある計画を実行に移そうとしていた。
愛する者の死の記憶、尋常ならざる剣の腕、その命をつけ狙う謎の刺客たち……どうやらこの男には、何かある。
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漆黒天‐終の語り‐
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2022年6月24日(金)公開