2011年。東日本大震災で未曽有の被害を受けたたくさんの人たち。 その中で、被災した宮城県から栃木県鹿沼市に引っ越して来た母娘がいた。 鹿沼でほうき職人として伝統を守ってきた男は、家業だけでは生活が出来ないため副業として塾を経営している。 男は宮城から鹿沼にやって来たその母子家庭の娘を支えてやろうと月謝を取らずに塾に通わせていた。 高校受験を控えたその娘はしかし、心に負った震災の傷が癒えずに塾を休みがちになる。 どうにかしてやりたいと思うが不器用な男は何もできない。 さらに自分には実の娘がいて、娘としては他人の娘にばかり優しくする父が面白くない。 見かねた妻がたしなめるが男はわかっていない。 やりきれない心と心がすれ違い交わりそうで交わらない。 息苦しい暮らしの中で娘たちは何かを見つけるのか――
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ほうきに願いを
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2021年6月25日(金)公開