このままじゃ窒息しそうだ―――宇和海と山に挟まれた小さな集落から、東京へ飛び出していった圭介。ミュージシャンになるはずが大した成果も上がらないまま、ズルズルと10年が経っていた。ある日、田舎から⼀本の電話が⼊る。漁に出たまま行方不明になっていた兄の、葬式をあげることになったという。帰郷を渋る圭介。「ミュージシャンとして東京で成功している」と、皆に嘘をついていたからだった。遅参した圭介を待っていたのは、兄の死で独りになった父、元妻ながら葬式を手伝いに戻ってきた沙織。最後に兄を目撃したという同級生の洋、そして、洋の妹で兄の悪い凪と、ふるさと蒋淵(こもぶち)の海だった。圭介の帰郷をきっかけに、それぞれの想いがぶつかり始める。凪いだ宇和海が、静かに広がっていた。
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凪の海
2020年6月8日(月)公開