韓国ノワール『このろくでもない世界で』より、傷だらけの少年の懇願に犯罪組織リーダーの心が動く本編映像が到着した。
本作は、第76回カンヌ国際映画祭&第28回釜山国際映画祭に公式出品され、百想芸術大賞で4部門ノミネート、見事キム・ヒョンソが<新人演技賞>に輝いた話題作。今回解禁されたのは、ホン・サビン演じる主人公ヨンギュがソン・ジュンギ演じるチゴンの下へ働かせて欲しいと直談判するシーンだ。
義理の父親からのDVで顔に大きな傷を負い、バイト先をクビになってしまったヨンギュ。暴力と貧困が蔓延るこの町で、堅気の仕事があることで平穏ではないながら、犯罪には手を染めずにいられたのだが、その働き口すら失ってしまい、半ばヤケクソにバイト先の窓ガラスをぶち壊し、土砂降りの中ずぶ濡れになりながらチゴンの事務所へ向かっていた。映像ではチゴンの事務所に到着したヨンギュがチゴンの手下のスンムから「さっさと帰れ」と冷たくあしらわれるも、追い詰められたヨンギュは無視して一歩踏みだす。
■『このろくでもない世界で』本編映像
「聞こえねえのか?」とスンムが畳み掛けると、チゴンが「来い」とスマホを操作しながら呼びかける。ヨンギュがチゴンのそばまで歩いてくると「スンムがここには来るなと言ったろ、ガキが何の用だ。お前にやった金だ、帰って勉強でもしろ」と、以前にヨンギュを助けるために渡した金についても、気にしないよう優しく諭すチゴン。しかし、ヨンギュはそれには答えず「雇ってください」とだけ述べる。チゴンは「ダメだ、帰れ」と突き放すも椅子を持ってきて彼の目の前に座り込むヨンギュの顔を一瞥するやすぐに異変に気づく。少し顔を背けるヨンギュだがチゴンに「帽子をとれ 早く」と言われると、渋々帽子を取り、血の滲んだ生々しい傷があらわになる。それを見たチゴンは、驚きと悲しみの混じった表情で「ひどい顔しやがって」と小さく呟く。少年が裏社会の扉を叩いてしまった。そしてヨンギュとチゴンというふたりの男の物語が急速に動き出すシーンとなっている。どんどん距離を縮めていく、ヨンギュとチゴン。この傷だらけのふたつの魂が共鳴した先には、ほんの少しでも陽が注ぐことはあるのだろうか?
7月26日(金)TOHOシネマズ シャンテほか全国公開